国立療養所静岡東病院受診体験記録  平成11年8月20日

私達が静岡のセンターの受診を決めたのは6月のことでした。主治医に相談するより前にまず電話で予約しました。一番近い日で空いている日がこの8月20日だった。その時は特に急を要する状態ではなかったのでその予約日まで待って受診することに決めました。

受診するにあたって、必要だったのは現在の主治医の紹介状、最近の脳波ということだったが、私達は4月にとった、MRI画像のコピーを出してもらって持参した。

センターのほうから封書が届いて開けて見ると診察申込書と地図、あと、予診表が入っていた。予診表はどちらかというと成人向けだったように思う。このような予診表ではあまり今までの経過を書けないと思い、自分で発症から現在までの経過を詳しく簡潔にまとめたものと今年3月2回目の再発から薬物治療をはじめて現在までの発作のグラフを持参した。

さて来院して見て最初の印象は「意外と小さいんだな」と言う感じ。受付で保険証と予診表、診察申し込み書を出すと「3番です。」と言われてその後、外来ナースステーションに行ってくださいと言われた。

外来ナースステーションで、はじめにしたのは計測。最近計測しましたかと聞かれたので一番最近の身長と体重を申告して計測はパスになった。「今日は朝の服薬は何時ですか?」と聞かれたので「7時半です。」と答えると「では9時に採血しましょう」と言われ少し待つことになった。9時になると処置室に呼ばれ、採血。「いつも取りやすい方ですか?」と聞かれたので、「大体1回で済んでます。」と答えるとセンターの看護婦さんは、「わー、すごいプレッシャーだなぁ。」って冗談めかしに言っていた。驚いたのは処置室から出されてしまうかと思ったのに、私とパパがゆうかの体を抑える役になったこと。いつもの病院では親は出されてしまい、どのように採血してるのか見れない。ただ、泣いているゆうかを迎えにいくだけ。1回で済まなかったらいやだなと思った。何度も刺しなおされたりしたらきっと切れちゃうだろうななんて思いながらも見事1回で終了。とってもいい看護婦さんに思えた。単純。(笑)

採血が済んで次は脳波検査。脳波室に行って、技師さんに説明を受ける。お薬は使わないで起きている時から取りますということだった。しばらく様子を見てどうしても眠らない場合は眠剤を使いますと言われた。でも起きているゆうかに電極をつけるのはとーっても大変な作業だった。とにかく頭をおさえられるのを嫌がりそのうち汗びっしょりになった。こんなに汗をかいてしまって、アーチファクト(脳の電気以外に波として現れる妨害のこと)が出ないかなと心配になった。電極がつけおわって、包帯で固定したあと、ゆうかと私と2人きりになった。ダッコでなんとか眠るようにと立ってふらふらしたりしていると、いつも最後にやる電気がピカピカするやつ、あれをやった。ゆうかを抱いて眠らせるように頑張ってようやく眠ったかなと思って、ベットにおくと「うーん。」と不機嫌な声をあげて起きそうになったので、また慌ててダッコする。すると技師さんが入ってきて、「お母さん、眠っているならダッコしたままでもいいですよ。お子さんの顔がカメラに映るようにしてください。(ビデオ脳波同時記録)」と言われ仕方がなくダッコしたまま続行。ダッコしていて動いてはいけないと思い、私は固まってしまった。(笑)終わったあと腕が異常にしびれたのはいうまでもない。

つぼみの会の会員で先に受診していたお母さんの話しでは、担当の先生が脳波室に来て様子を見たり脳波を見たりしてくれたと言う。内心期待していたのだが、担当の先生が違っていたのね。だれも来なかったよ。(笑)このときちょっとがっかりする。

脳波が終わってもゆうかは眠ったままだったので、(自然入眠だったのに、)そのままCTスキャンをとることになった。CTも眠っていたのですぐに取り終わり、11時ごろはじめて診察室に呼ばれた。

今までの経過や生まれたときの状況などを話して、かなり長い時間診察室には、いたように思う。担当の先生に「ここへはどういうことで来ましたか?」みたいな質問をされ、「今の病院の治療以外に何か他に治療の手段があるか知りたかった」ということと「外科的な(手術の)可能性があるのかどうか知りたい」ということを言った。先生はゆうかの利き手を気にしていたように思う。どちらの手が良く出ますか?とか発作の形は左右対象ですか?とか聞かれた。発作のビデオを持って行ったので(受診の前日の一番新しい発作)それを見せた。MRIを見て手術で取れるようなてんかんの原因がないと言われ手術は無理となった。脳の形成異常については脳梁が部分欠損している他に、脳の中に隙間が少し多いこと、などを指摘された。これは言われなくてもわかっていたので「フーン」て感じ。そんなこんなで朝とった脳波が担当医の手元に来てそれを早速見てみる。「脳波きれいになってますね」最初の一言がそれだった。私達も脳波を見てそれぐらいはわかった。左に多少出てますがこれはどういうことを意味するのかななどと独り言を言っていたような気がする。別に専門医だからと言って、ゆうかの主治医と特別変わらないコメントだったように思う。私達は脳波を見てヒプスアリスミアが無いことに内心狂喜していた。(笑)なんだほんとにきれいじゃない。なんで毎日あんなしんどい発作が出るんだろうって不思議だった。このことは専門医でも納得のいく説明はなかったな。ちょっと残念PartU!(笑)

その担当医から午後に副院長の診察があるので昼休みを入れて2時ごろ戻ってきてくださいと言われたので、休憩に外に出た。(どうしてもセンターの食堂では食事をする気になれなかった。ゆうかをゴロンとさせたかったので、病院を出て探した。)売店も食堂も淋しいー。母子入院しているお母さん達は何を食べてるんだろうって心配しちゃった。(笑)

私達はその日の初診の3番目(この日初診は3組だけ)だったので2時半ごろ、副院長と担当医の合同診察になった。診察室に入って副院長がはじめに言ったのは、「元気ですね。何食べてるの?」(笑)はぁ?って思ったけど、「3回、離乳食の後期を食べてます」と答えた。だんなが「ベビーカーからおろしますか?」と聞くと「あっ、別にいいですよ」といわれる。(なんだい触診とか発達審査は無しかいとここでもがっかり)副院長は担当医となにやら専門用語で脳波についてべらべらしゃべっていて、聞いていてなんとなく解るんだけどなんとなくわかんない。あとで説明があるんだろうと思って、黙って聞いていた。脳波については、ビデオで見るような発作を起こすような脳波ではないこと、ゆうかの基礎波(背景波)がとてもいいこと、左に部分部分棘波が見られるが起こっている発作と一致しないことなどに首をかしげていた。発作のビデオで、発作の最中寝返りしたり、意識がしっかりしている様子を見て典型からはずれるというようなことを言われた。通常、この発作の形だと脳波もヒプスアリスミアを見ることが多いし、発作の最中も泣いたり不機嫌になったりすることが典型だと言う。ゆうかは発症当時には典型だったので今は脳の成熟によってそれが抑えられたりしているのではということだった。ゆっくりだけど発達しているということで軽症と思われたような印象だった。

てんかん薬の治療について、今まで試した薬に対してはっきりとしたリアクションがなくて、完全に収まったことがないのでどのくらい効いているのか疑問に思っていることを話し、「3回が1回になったからと言って、聞いているとは判断しづらいですよね?」と言うと「いや、3回が1回になったら効いていると思っていいんじゃないかな」という答えだった。脳波が良くても臨床的に現れている発作を止めるのが治療だからこれからもてんかん薬の治療を続けることになりますね、いろいろやってみるといいんじゃないかなと言われて、内心、そんなもん?それで終わり?と思ったけど、実は私達、想像以上に良かった脳波に喜んでしまっていて、そのときはあまり疑問に思わなかったんだよねぇ。(笑)

今の主治医に「現れている発作の形は全般発作でも脳波的には部分発作てきなものなのかもね。」と言われたこと話し、「だったら部分発作の薬のほうがいいんじゃないですか?」と聞くと、いや、全般発作の薬の方がいいでしょうと言われた。部分発作の薬(例えばエクセグランやテグレトールは乳幼児には使いたくないからみたいな理由だったと思う。薬の副作用についても説明を受けたが知ってることばかりだった)結局最近はじめたセレニカRでもうすこし様子をみていいんじゃないかなということで薬のチェンジもなし。

ひとつ少し希望を持てるような発言があった。とうのは、ウエストだと心配されるレノックス症候群への移行だけど、ゆうかのような背景波であれば今のところはそれほど悪く考えなくてもいいかもということ。移行する子はもっと左右の同期が悪かったりするからと言っていた。「このままの脳波を維持していけば先行きも明るいかもしれません。が、脳の気質的な異常を考えるとやっぱりあまり楽観視はできないですけどね。」と駄目押しもされた。大丈夫解ってるって!!(笑)

最後に今後状況が変わったりまた心配なことが出てきたらいつでも再診できますからと副院長先生はにっこり笑って見送ってくれました。こうやって少し後になって振り返って見ると結構お金と時間をかけて行ったのに、専門医の話しを聞くというだけの親の自己満足に終わったような気がしないでもない。今回のてんかんセンター受診について、積極的だったのは実はだんなでそのだんなが割と喜んでいたので私的にはよしとしている。私としては、専門医であろうとなかろうと親と子供と医師とのコミュニケーションがしっかり取れていて親自身も病気について理解しようと勉強していれば何も専門医にこだわることはないだろうという気持。ただ、静岡病院でなければ出来ない検査があるということ。それについては希望があるならば受診するのはいいかも知れない。ひとえにてんかんと言ってもそれを起こしている原因がひとそれぞれな以上、どこの病院がいいとは一概に言えない。今の病院で満足がいかずてんかんの原因を徹底的に探りたいと思っている患者さんにはお薦めかも。ただその検査をゆうかはやらなかったので報告できなかったのは非常に残念に思う。

なんともまとまりのないレポートになってしまいましたが何か質問や疑問がありましたら、メールか掲示板に書きこみください。わかることならお答えしたいと思います。