<告知>

発症して様々な検査が必要になった。てんかんの原因を探るためのものや、治療に必要な検査だった。
約2ヶ月間の入院期間中に全ての検査の結果が報告された。
悠夏を特発性だと信じていた私達は次々と突き落とされることになる。

はじめに異常が見つかったのは脳であった。MRIの画像検査にて脳梁が二分の一、欠損していたのがわかった。「おそらくこれがてんかんの原因でしょう」と言われた。
原因があったのか・・。でもなんで脳梁が?この時は脳梁欠損の原因は不明であった。
「おなかの中にいたときに何かトラブルがあったのでしょう。」そういう説明だった。
「欠陥ってことですか?」その質問に先生は「欠陥というよりは奇形でしょう。」と答えた。

奇形・・・。嫌な言葉だなと思った。奇形児だったのか。
ショックなのに原因がわかってすっきりしたような妙な気分だった。
「人間の脳細胞は30パーセントしか使われていない。」そんな話しを聞いたことがあって、脳梁が半分なくても他の部分が補ってうまくやってくれるだろう。でなければ2ヶ月半まであんなに普通に育つわけがないよねって、思った。

次ぎに異常が見つかったのは眼科だった。
この時もまさか異常が見つかるなどとは思ってなかったので、寝耳に水って感じだった。

「左眼の視神経が若干低形成でした。これについては視力を測定できないのでどのくらい見えているのかはわかりません。成長につれて弱視や斜視が出るかもしれませんがその時はリハビリをすることになると思います。
それと・・
右眼なんですが網脈絡膜炎といって眼に炎症があったと思われる跡がありました。古い傷なのでおなかの中にいたときのものだとおもいます。
トキソプラズマといって寄生虫の原虫なんですが・・。それが寄生して増殖したものと思われます。確定診断が難しい病気なので確実ではないのですが他には考えられるものがないんですよ。」

先生の話しを聞きながら心臓が妙にドキドキするのを感じていた。
トキソプラズマって確か猫から移るって病気?妊婦が感染するとまずいとかいう・・。猫???なんで?
家には猫などいない。なぜ猫からそんなものもらえる?
とっても疑問だった。家に帰りインターネットで調べると
「トキソプラズマは胎児期に母親から感染すると奇形などをおこす。」とあって、だから脳奇形が起こったのかと納得した。

この眼科の検査結果についてはさすがの私もショックだった。脳以外に悪いところなどないと思っていたから・・。思わず先生に「もうこれ以上悪いことはないですよね?」と念を押すほど。

結局このトキソプラズマは後に行った血清抗体検査が陰性だったということで診断をはずされた。じゃあ何なのだ?もっと後でわかったことだが網脈絡膜炎ではなく網脈絡膜異常だった。眼奇形である。

なんでも女児で点頭てんかんを発症して脳梁がなくて網脈絡膜異常だとアイカルディー症候群と診断されるらしい。このお話は次ぎのページで。