脳梁欠損症  *以下「今日の神経疾患治療指針」より抜粋

<疾患の概念・病因> 脳梁は左右の大脳半球を結合する交連の中で最も重要であり、左右の新皮質を結合する。胎齢24日ごろ、原始終盤の一部は肥厚し交連板となり、これより脳梁が形成され、胎齢19週頃完成される。何らかの原因により終盤の発達が障害されると、交連板の形成不全が起こり、脳梁の形成が障害される。全体の欠損と部分的な欠損がある(6:4)。後者は後半分の物が多い。多くの例では原因は不明である。一家系内の発生などから、遺伝的因子の関与も考えられている。染色体異常、外傷、酸素欠乏、アルコール中毒、糖尿病、風疹なども原因として挙げられている。

<症候の特徴> 無症状の例もある。通常は生後まもなくから小児期までに発症し、水頭症、知能発達障害、小頭症、けいれんなどがみられることが多い。成人ではけいれんで発症するものが多い。孔脳症、小脳回、中脳水道またはMonro孔の閉鎖、脳神経の欠損、錐体路の欠損、二分脊椎、血管奇形、短頭症、尖頭症、結節性硬化症、Dandy−Walker症候群、小脳奇形、口唇裂、外反股、外反膝、多指症などの奇形の合併が報告されている。

<診断のポイント>確定診断は画像診断法による。古くから空気脳撮影法の所見として、以下のものが挙げられている。a左右の側脳室の離開、b側脳室の上壁の角状化、c側脳室内側壁の陥凹、d後角・下角の拡大、eMonro孔の拡大、f第三脳室の拡大と上方伸展、g大脳半球内側面の脳溝の放射状の走行。これらの所見は、CTスキャン、MRIの所見にあてはまる。

<予後>特別な症状がなく、たまたま本症が見つかった例の予後は良好で、けいれんは薬剤により治療できる。一般には、合併奇形の程度により予後が決まる。高度の奇形を合併する例では、長期の生存は難しい。

<治療方針>合併する水頭症に対し、脳室腹腔シャントなどの施行を考慮する。


ゆーりーより
脳梁欠損の予後についても本当にいろいろです。「ACCの広場」という脳梁欠損のお子さんを持つご家族の広場でお話を聞いてもいろいろな方がいらっしゃいます。
「ACCの広場」はリンクのお部屋から行けます。